あるとき、ふと目を覚ますと
よくわからない景色が目の前に広がっていた。
「今、目の当たりにしているものは、描きかけの絵である」
と、理解が及ぶまで、ほんの数秒。
「わからない」に直面してから
「把握/理解/認知をする」までの意識の働きを
初めて自覚した瞬間だった。
ラベリングが出来ないものとの対峙というのは
意識しても、なかなか出来るものではない。
未知の対象・体験・感覚に対峙すると、
私たちの脳は、自動反応的に
安心できる「知っているもの」へと処理してしまうからだ。
捉えることがとんでもなく難しい「意識」。
その片鱗に少しでも触れたい。
「意識にのぼるまえの感覚」
「まだ言葉にならない体験」
これらの領域を、絵画によって探索する。
認知科学の研究が示すように
わたしたちの感覚知覚は、世界をそのまま映し出してはいない。
感覚受容器と脳の働きによって編集された
限られた像を「現実」と錯覚している。
美術は、この自動的な反応をこえる装置となりえる。
無意識のうちにも、色や形は認知に作用する。
とりわけ抽象画は
「わからなさ」にとどまる余地を含んでいる。
意味に回収される前の余白において
ありのままにものごとを見ようとする体験こそが
「可知域の内側」を拡張する可能性を持つ。
絵画は、意識を拡張する装置である。
異なる身体・意識を持っているわたしたち。
一人ひとりが、唯一無二の世界を生きている。
自らの心の機微に、微細に寄り添うとき
個は世界との関係性を更新する
絵画を鑑賞すること
空間を体験すること
これらの営みは、五感を通じた観察を促す。
そのまなざしによって、あらためて世界は露れ
わたしたちは内的感覚への解像度を高め、内界へ自覚的に応答していく。
絵画は、外界と内界を結ぶ扉となる。
未知と既知のあいだに橋をかけたい。
人類の意識は、きっと、もっとアップデートできる。
祈りとともに、わたしは絵を描き続ける。
岡田 友里
YURI OKADA

大阪府生まれ、那須⾼原在住の画家。ものごとをありのまま⾒る体験の創出という観点から抽象画を制作する。⼿法はアクリル絵具を中⼼に、透明水彩や鉛筆を使⽤。制作にあたり、⾃然やその⼟地から受け取る感覚を⼤事にする。2020年より千葉県いすみ市、神奈川県葉⼭町と海の 近くを拠点とし、2023年に那須に移住。
作品の特徴は、景⾊や現象、また全く別の何かにも⾒えること。⾒る⼈の⼼模様や時々によって印象が変わる、鑑賞者のその瞬間の⼼を映し出す鏡のような絵を描いている。⽣き物と対峙するように、その時々で鑑賞者が⾃⾝の内⾯を覗き込むような体験がうまれることを願っている。
SOLO EXHIBITION
「あわい」(葉山, 2022/05)
「可惜夜の扉」(恵比寿, T-Gallery, 2023/06 – 07)
「湖面の幻影」(銀座, SpaceTGC, 2024/05 – 06)
「湖面の幻影」巡回展(那須黒磯, Art369space, 2024/09)
GROUP EXHIBITION
国際合同現代美術展「BRAIN CAKE」(M.A.D.S. Art Gallery(ミラノ) , CASA MILÀ(バルセロナ) , メタバース , 2022)
国際現代美術展「ADRENOCROMO for Dinner」(M.A.D.S. Art Gallery(ミラノ , フエルテベントゥラ島(スペイン)) , メタバース, 2022)
ROSSOCINABRO Galleryへ出展 (ローマ, 2023/04 – 09 , 11 – 12)
三人展「木の芽の鼓」(神戸, アート美空間, 2025/02)
EVENT&OTHER ACTIVITIES
Obscure2024 メインビジュアル(神保町 , 文房堂ギャラリー , 2024/04)
Somon展 展示会出展(那須 湯本, 蒼門アトリエ, 2024/08)
tel quel イベント出展(恵比寿 , TEA GATE COFFEE , 2024/01)
Hitotsumusubi 店舗ガラスペイント(墨田区, Hitotsumusubi, 2022/11)

