ご縁結びの事例 | MUSUBI #03
絵という“窓”を迎えて、自身をみつめる
在宅勤務が続く日々、無機質だった仕事の空間に迎えた一枚の絵。
それはまるで“窓”のように、見るたびに異なる景色を見せてくれる。
日々を重ね、心の変化を映し出す存在になっている。
今回は、初めて絵を迎えた体験と「わたしにとってこの絵の存在とは?」を捉えるまで、そこから絵と過ごす中で紡いできた「絵と私の関係性」についてお話を伺いました。

― Q. 絵との出会いについて教えてください。
絵を購入する、なんていうことはまったく考えていませんでした。
2022年の個展「あわい」に伺った際、たくさん絵があるなかで「これが好き」と感じる絵がありました。たくさん絵はありましたが、いまの自分の状態にマッチしているものは、この絵がダントツでした。もし、この絵が購入不可の作品だったら、購入可能な他の絵を選ぼう、とはならなかったと思います。この絵にびびびっときて、絵を購入するという体験は初めてでした。
― Q. 予期せず絵を迎えてみて、まず感じたことは?
飾ってからびっくりしたのは、「窓みたい」と感じたことです。
ちょうど在宅勤務の日々のタイミングで、絵を迎えました。仕事のスペースは区切られているのですが殺風景で、うるおいがないと感じ、自分にしっくりする場所にしたいという気持ちがありました。その頃のお家は窓が少なめで、曇りガラスからは光が入るけれど、窓からの景色はあまり楽しめていませんでした。
絵を仕事のスペースに飾ってみると、絵を見るときによって結構印象は異なります。
窓の外の風景が変わるように、自身のテンションや状態によって、見るときの感じ方・受け取り方が日によって違うんだな、同じ絵なのに、と思いました。あったかい気持ちになるときもあれば、常に変わらずそこにある、頼れるみたいな感覚になるときもあります。もしかしたら、なにかものが描かれている具象の絵だったら、家に飾りたい気持ちにならなかったのかもしれません。
― Q. 絵のある空間で過ごしてみて、絵の存在をどのように捉えていますか?
家が変わり、絵を飾る場所を変えて気づいたことがあります。
絵を見ることは、描いてあるものをみているのではなく、絵を通して自分をみているということです。
絵を迎えた時、仕事をするスペースに絵を置きました。人と過ごすより、ひとりの時間が好きなので、絵は、「自分の場所」と感じられる、ひとりの空間にあるのがいちばんしっくりきます。その後、引っ越しをして、絵を寝室に飾りました。寝室に移す際に額装をしました。寝室には子どももいて自分一人の部屋ではなく、キャンバスのまま飾ると、むき出しの自分すぎる気がして、額装を例えるなら服を着せるような感覚でした。寝室に飾るなら額装をしている方がいいのですが、でもやっぱり、寝室ではなく、自分一人の場所に、キャンバスのままで飾るのが、私にとって一番しっくりくるように感じました。
飾る場所や額装の有無など、同じ作品をさまざまなパターンで飾ってみて、自分ひとりの場所におくのがしっくりくるのは、絵をじぶんと向き合うものとして捉えているからだと気が付きました。私の場合は、家の風景のひとつとして、みんながいるところにこそ飾りたいというパターンではなく、絵を通して自分を見る場所に置きたい気持ちがありました。 絵を、自分にとってどういう存在にしたいかは、作品によってきっと違うだろう、ということも感じます。この絵だから、自分を見る役割を託しているのだと思います。
― Q. 3年間のなかで、感じ方に変化はありますか?
迎えた最初は自分が絵をみている、という自身が主体の感覚でした。日が経つと、絵が私を「見守っている」という主体・客体の感じ方に変化がありました。いまでは、善い人間として生きているか「見られている」という感覚を受けることもあります。
― Q. 絵を購入したのは、はじめての体験だと仰っていたのが印象的でした。
絵を買うことはなかなかなく、これは自分にとって唯一無二の作品です。私にとって絵というものは、とっかえひっかえするものでも、仕舞っておくものでもなく、日々、目の触れるところにあってほしいものです。身近に置いておきたいものは多くはありませんが、だからこそ近くに置きたいものについてはとても大切に、置く場所も都度、真剣に考えたいのだと思います。
どんなジャンルでも、はじめての体験って自身にとってインパクトがあり大切な思い出として残っていることが多いです。これから年齢を重ね、いろんなタイミングがあり絵を迎えるようになったらまた変わるかもしれませんが、例えるならひとりめの彼氏と過ごしているような(笑)、初めて絵を迎えたすごい体験として、ずっとこの絵を大切に過ごしています。

ノスタルジックな未来 | Our home
Acrylic on canvas(333×242)
– Keyword
矢を射抜く、的を射る
– 絵の個性について
向かう先が定まると、自然と心を一点に集中させてくれます。それは独りよがりで進むことはせず、周囲も温かく手を添えてくれるようです。そして、その的を射る時には、痛みや傷を負うことはなく、心地よい空気、生命が誕生するような空気が広がり漂うでしょう。
的が見えない時には、的を見せてくれようとそっと手を添えてくれるような存在です。
鑑賞する方へ「あなたには、一点を貫く力がある」と、声をかけてくれる絵です。挑戦するとき、前にすすむときには、恐怖心を持つこともあるけれど、「恐れずに進んで大丈夫」と背中を押してくれるような印象です。
(解説:キタムラ)
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